風営法の種類 スナックの申請 ユウコの場合その1
スナックと言ってもお店の営業スタイルによって風営法での申請が異なります。接待を伴う場合には、風営法の1号の許可を申請することになりますし、接待をしない場合で夜12時以降も営業する場合には風営法33条の「深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届」(長いので「深酒」呼びます)となります。
ここでは、スナックのスタッフ、ユウコさんがママからお店を引き継ぎ、一人で申請まで進む工程を物語風にしてお伝えします。
風営法の申請について
ユウコが仕事終わりにママから呼び出されて、「私ももう年だからさー。あんたに全部渡すからお店やってくんないかなー」といわれたのは1週間前のことだった。もう今のお店は5年になるし、ママは結構休みがちなんで、ほとんどひとりでお店を切盛りしてきたから何とかやれそうな気がするけど、何かいろいろと手続きがあるんじゃないかと気になり始めた頃であった。
そこで、ママに聞いてみた。「ママこの前の話は前向きに考えているんだけど、このお店オープンする時に手続きはどんなことしたの」
「そうね。いろいろあったようだけど、警察関係の手続きは行政書士の人に頼んだわよ」「行政書士ってたまーにお店に顔を出してマイクを放さないHIROさんかしら」「そうあの人とももう長い付き合いね」
ちょうどそんな話をしている時に、店のドアが開き、お客が入ってきた。それはなんと行政書士のHIROであった。
風営法に必要な書類について
ユウコはHIROがカラオケを始める前に、ママから店を引き継ぐことを矢継ぎ早に伝えた。
HIROはじっとマイクを見ながら言った「そうか、お店を引き継ぐのか、その場合はいろいろやることがあるよ」と言いながらマイクを取ろうとしたので、ユウコはマイクを素早くカウンタ―の下に隠し「いろんなことって何よー」と聞いた。
HIROはしぶしぶ「営業を引き継ぐには保健所と警察署に書類を出さないといけないな」に続けて「結局保健所も警察署もユウコちゃんの名前で書類を作る必要があるんだ」
「新しく始めるって感じかしら」
「そうなるね。そうだママ。飲食店営業の期限は6年だけど、もうそろそろじゃないかな」
「そうねちょっとみてるわ、あら!あと4ヶ月後に切れちゃうわ」
飲食店営業許可について
ユウコはHIROに聞いた「うちみたいに、スナック菓子とか乾き物だけでも飲食店営業の許可は必要なのかしら」
「そうだね。スナック・キャバクラ・ホスト・クラブ等々は許可営業34業種に含まれているから許可が必要になるね」
「そうなんだ。許可を取るには何が必要なの」
「俺もう帰ろうかな」その時、ユウコはちらっとマイクを見せた。
「ん?そうかちょっと居ようかな。。。。いろいろあるけど準備するのは
1 営業許可申請書 これは大阪府保健所のホームページ からダウンロードして使えるよ
2 施設図面 2部 お店の図面だね。お店全体の図面にシンク2個、手洗い、トイレの手洗い、食器を入れる棚の場所を書き入れるよ
手書きでもいいけどこれが結構面倒かな。
3 法人の場合は登記事項証明書 登記所かインターネットでも手に入るよ。
4 食品衛生責任者の資格を証明する書類 食品衛生管理者養成講習会が結構予定されているから、その講習を受けて終了証書の原本かコピー を出せばいいよ。調理師免許か栄養士さん等々の免許があれば食品衛生責任者にあたるね。もし、それもない場合はどうするかと言えば先ほどの 「食品衛生管理者養成講習会 にいついつエントリーしています」予定を申請書に記載すれば申請できるさ。」
「あとは構造の要件だね。シンクが2つと手洗いが一つ それぞれお湯が出る蛇口 水が出る蛇口があることと、乾き物やスナック菓子のお店ならいいけど、結構料理を考えているならば、側溝の設備も必要な場合もあるし、客席とキッチンを分けるパタパタ扉も必要なこともあるよ。保健所によって若干違うんで前もって確認した方がいいかな。」
「前に申請しているんだからうちのお店の設備は大丈夫よね」
「実はね、2021年6月から食品衛生法が変わってキッチンの手洗いの蛇口は自動で開け閉めができるか、レバー式にしないとだめなんだ。あとトイレに手洗いが必要になっている。」HIROはキッチンをのぞき込んで言った。「この蛇口は変える必要があるね手で回すタイプだ。もう俺帰るね。」
「まだ風営法の話がないじゃない。」とユウコはマイクをスタンドに戻し呼び止めたが、HROは帰っていった。
次回に続く