ここでは深夜酒類提供飲食店営業の届け出について、記載してまいりましょう。
根拠条文は「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」風営法の第33条 (深夜における酒類提供飲食店営業の届出等)にあります。これは、風営法2条の1~5号が許可制であり、公安委員会からの許可が必要となるのですが、こちらは届け出が受理されたら完了となります。ただ、用意する書類については、接待のある1号許可とそれほど変わらないことから、難易度の高い届け出となります。

それでは条件と必要書類を確認していきます。

深夜酒類提供飲食店営業について 

まずは深酒の届け出が必要かどうかの判断です。

ポイント1 酒類を提供する飲食店である。
ポイント2 深夜(夜0時以降午前6時まで)に酒類を提供する。
ポイント3 主に主食を提供しない
上記ポイント1~3に該当する場合には深酒の届け出が必要となります。主食とは中華料理屋さんとか、牛丼屋さんとかを想定するとわかりやすいと思いますが、他には、イタリアン料理屋さんとかまあスペイン料理屋さんとか、主食がメインの場合は深酒の申請は不要と言う事になります。

そうなると、お酒の提供をメインとするバー、スタンド、ガールズバー、カクテルバー等々が0時以降営業をする場合には深酒の届出が必要となってくるわけです。

深酒の届出の条件をみていきます。

1 お店のある場所の制限

深夜酒類提供のお店が出せる場所は制限されています。
それぞれの地域は住宅地域とか工場地域とか商業地域とかに用途ごとに12種類にわけて都市を計画性をもって開発しましょうとしています。閑静な住宅地域に朝までやっている飲み屋さんが何件もあるとしたら、もしかすると、まっかな顔(もしくは青い顔)をしたおじさんと朝登校中の小学生がすれ違うかもしれません。それはさすがに、具合がわるいので、限られた場所での営業に限定されています。目安としては「商業地域」、「近隣商業地域」、「工業地域」、「準工業地域」ならば出店は可能と考えられますが、大阪では「大阪府風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例施行規則」で細かく規定していますので、関係部署に確認が必要です。

どうすれば用途地域を確認できるかと言えば、まずはグーグルを検索する際に 「用途地域/○○市、区」で検索すると出てきますし、役所に電話して「用途地域が知りたい」と言えば都市計画課とかに転送され住所を言えば親切に教えてもらえます。 出店できない場所にはどうあがいても出店できませんので、事前に確認が大切です。

あと1号許可の際に必要な、人的欠格事由の確認保全対象施設ありません。

2 お店の中の制限

これからはお店の中身の制限事項です。この条件のクリアが必要です。
 ・ 客室の床面積は9.5平方メートル以上であること(ただし、1室の場合は除く)
 ・ 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと(1m以上の衝立とか観葉植物とか)
 ・ 善良な風俗を害するおそれのある写真、広告物、装飾などを設けないこと(エッチな写真とか物)
 ・ 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと(店の中に部屋があってそこのカギこと) 
   (ただし、営業所外に直接通ずる客室出入口については除く)
 ・ 騒音、振動が条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること 
   大阪の深夜における音響機器(カラオケなど)の使用の制限・深夜営業(作業)の時間制限 パンフレットです
 ・ *ショーを見せるなど、深夜において客に遊興させないこと
 ・ 営業所内の照度を20ルクス以下としないこと 

*遊興ということばが出てきましたが、遊興とはお店側の積極的な行為によりお客さんを遊ばせ、興じさせる(楽しませる)ことを言います。これをしてはいけないのが深酒です。

深酒届出の必要書類とその他

深酒の届出に必要な書類について確認していきます。

まず、深酒の届出はお店のOPENの10日前までに行います。所轄警察署の担当者の不在、休み等の場合がありますので、余裕をもった届出をお薦めします。

あといかに「乾きもの」しか提供しないと言っても保健所に飲食店営業の許可を申請しておく必要があります。
飲食店営業許可申請の方法につきましては こちら をごらんください。
飲食店営業と深酒を同時進行で進めることもあるかと思います。深酒申請には飲食店営業許可書のコピーの添付が必要となりますが、それに替えて、保健所の受理証明書で届出の受付が可能な警察署もあります。保健所に受理証明書をくださいと言えば、申請書に受付のはんこを押したコピーを渡してくれます。事前に所轄の警察署に連絡・確認してみてください。

次に必要な書類をみていきます。

・深夜における酒類提供飲食店営業の営業開始届出  
 大阪の申請書は こちら から 下の方にあります。
・営業の方法 書式は↑ からどうぞ
・メニュー案
・営業所周辺の概略図
・建物の全部事項証明書(自己所有の建物の場合)         
・物件契約書のコピー(賃貸のお店の場合)
・使用承諾書
・入居階平面図
・営業所平面図
・求積表
・営業所求積図
・客席等求積図
・音響・証明図
・定款のコピー(法人の場合)
・履歴事項全部証明書(法人の場合)
・住民票 (本籍の記載あり・法人の場合は役員全員分)
・在留カードのコピー(外国人の場合)
・誓約書
・飲食店営業許可書のコピー
・委任状(ご依頼頂いた場合)

いかがでしょうか。そこそこのボリュームがあります。深酒の届出は、1号営業許可と違い、実査(警察・消防・市役所の開業前の検査)がありませんので、書類のみでの確認となります。その為、正確な書類の作成が必要とされます。

尚、深酒でも警察署によっては開業前に実査が行われる場合がありますので、その際に指摘を受ける事のないように実態に則した正確な書類の提出が必要です。

ご自身で申請をご検討された場合、どうしても申請書と営業の方法の記載に悩まれたり、図面の作成が面倒と思われている方もいらっしゃるかと思います。その際には遠慮なく電話でも、メールでよろしいですので、ご質問ください。図面の作成のみもお受けしますので、ご連絡頂ければ嬉しい限りです。