風営法の「接待行為」とは？

風営法の「接待行為」はサラリーマンが料理店、居酒屋などで普通によくみられる、あの接待とは異なります。

自分もサラリーマンでしかも営業で、会社に入社以来「接待とは何か」を教えられてきましたので良くわかるのですが、相手をいい気分にさせるという、目的は同じですが、風営法で「接待行為」にあたるのか、あたらないのかはそのお店の営業のやり方が大きく異なることにります。

１．スナックで接待行為をする予定ならば風営法の１号の社交飲食店の申請をして許可が必要となり、

２．スナックで接待行為をしないし１２時前に閉店する場合は飲食店の許可のみでいいですし、

３．スナックで接待行為なしの１２時以降も営業するならば、先ほどの飲食店の許可と深夜酒類提供飲食店営業営業開始届出の届け出をすることとなります。

ここは申請方法が許可なのか届出なのかで大きく変わるいわば風営法のキモとなる部分ですので丁寧に説明していきます。

接待行為とは

風営法２条１項１号には「客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」は一号の許可が必要ですよ。と書かれています。「客に接待をして」とありますが、やはりはっきりしません、法律は大まかに規定し、あと細かいことは、施行規則（各省庁）や、条例（県、市等）で定めることがほとんどです。

そこで、接待の細かい内容は何にかいてあるんだとなります。警視庁のHPここに解釈運用基準ってのがありますので興味のある方はみてください。

そこには接待とは「歓楽的雰囲気を醸し出すことにより客をもてなすこと」とあります。歓楽的雰囲気かーなるほどとはなりません。はっきり言ってよくわかりません。

そこで「歓楽」を調べてみると、「喜び楽しむこと」とあります。類語としては「快楽」「悦楽」「享楽」とあり何となく類似語の方が想像ができますね。

表現的には難しいですが、快楽的・悦楽的な雰囲気を出して客を喜ばす店の場合には１号許可を取ってやってくださいよとなります。

接待行為の具体的な例

それでは具体的な接待行為とはについて考えていきます。

接待の主体

接待はいったい誰がするのですが、それはお店側になります。また、お店のキャストだけでなく、旅館・ホテルでのバンケットクラブのホステスさん、女中さん、中居さん含め、性別も通常は異性ですがそれ以外もとなっています。いろんな人が主体になりますので注意が必要です。

何が接待にあたるか

どんな行為が接待にあたるかですが、

１）・談笑・お酌等について

先ほどの解釈運用基準によれば
「特定の少数のお客さんの近くで結構な時間、話し合ったり、飲み食いの提供サービスとかを、した場合」は接待にあたるとされます。問題になるのがキャストのいる場所ですがはお客のいるコーナー席でも、カウンター越しでも結構な時間話し込んだり、飲み食いの提供サービスをした場合は「接待」になるとされています。

これに対して接待行為にあたらないのは、解釈運用基準によれば「お酌をしたり水割りを作るが速やかにその場を立去る行為、客の後方で待機し、またはカウンター内で単に客の注文に応じて酒類などの提供をするだけの行為、社交儀礼上のあいさつ、若干の世間話程度は、接待に当たらない」

かつてよく行った東京駅に近いスナックがまさに客の後方で待機し、の店でした。恐らくお店のオーナーは接待行為にあたらない、営業スタイルの、客の後方待機を採用したのでしょうね。はじめてのスタイルでしたが、違和感よりも新しさを感じ結構面白かったです。

お客は全員下心で胸が張り裂けそうな状態で、そんなことは奥にしまって、店に顔を出す訳ですから、そのスケベ心を増長するような行為が、接待にあたるとなります。

２）ダンスはどう？

解釈運用基準を確認してみましょう。

特定の客の相手となって、その身体に接触しながら、当該客にダンスをさせる行為は接待に当たる。また、客の身体に接触しない場合であっても、特定少数の客の近くに位置し、継続して、その客と一緒に踊る行為は、接待に当たる。

チークダンスでも、くっつかない場合でも、ダンスは接待行為にあたりです。

３）カラオケの場合はデュエットはどう？

カラオケの場合は特定の少数のお客さんに「歌ってようー」とか「まあ、いつ聞いてもおじょうずよねー」とか褒めてのせるのは接待行為になります。何故ならお客さんのスケベ心に火をつける可能性があるからです。

お客さんが勝手に歌ったり、カラオケの準備をするだけなら接待行為にはあたりません。

ただこのあたりが、ムズカシイところで、もし、営業の接待の相手が歌い終わったあとに、当然その営業マンは褒めても、ママが無言の場合はどうなんでしょうかとなりますね。その場合には風俗営業許可の出番ではないでしょうか。

４）ゲームとかお遊びについてはどう？

お客さんとキャストがゲームをしたら、接待行為にあたります。ゲームってですが、「王様ゲーム」とかはそりゃそうでしょうとなりますが
トランプとかダーツとかも該当しますので注意が必要です。当然キャストが入らずにお客さんが勝手にゲームするぶんには接待行為には該当しません。

５）その他のボディタッチとか

お客さんはスケベ心もありますが、心の癒しを求めて店に顔を出すこともあります。その癒しはフレンドリーな体の密着とか、手を握ってくれたとかで満足するものです。ただ、この行為も接待行為にあたります。

尚、社交辞令的な握手「今日はありがとう」「こちらこそどうも」的な感じの場合と、酔っぱらいを介抱する場合は接待行為にはあたりません。

「うちは泥酔バーだから」としてそんなに酔っぱらっていないのに、酔っているからと言ってボディタッチしてたら接待行為でアウトです。